両手で渡す思いやり

館長の散歩道

最近、「おさほうえほん」という図書が発行されて、好評を得ているようです。『一生役立つ「おさほう」を5歳から学べます!育ちのよさは、だれでもいまからでも身につけられる!』こんなコピーが目に飛び込んできました。絵本を手に取ってみると、身につけたい作法がリストアップされていて、その中に「ものをわたすときは、かならず両手でわたそう」とありました。『片手でもてるものでも、両手であつかうんだよ。本や絵など、「上」と「下」があるものは、あいてが見やすいむきにしてから、わたそう。あなたがあいてを大切に思っていることが伝わるよ。』なるほど!相手への気持ちが、「カタチ」になって届いていく。これまで僕は、コミュニケーションのワークショップで、言葉を届けるレッスンをしてきました。まず一人が本や書類などを、自分の言葉だと思って、相手に片手で渡してみます。すると受け手も同じように、片手でさっと受け取ってしまいます。今度は両手でわたしてみます。すると受け手も自然に両手で受け取ってくれるんです。その瞬間、二人に笑顔がこぼれます。ちょっとしたしぐさの違いですが、人を幸せにしてくれます。2021年度の小中の不登校児童は前年度から44%増えて、過去最多の24万人だそうです。パソコンやスマートフォンを使った誹謗・中傷などの件数も最多を更新とのこと。こういう状況だからこそ、お互いを思いやり、やわらかく接していきたいものですね。