子どもの身体性

館長の散歩道

以前、詩人の谷川俊太郎さんとご自宅で対談をさせて頂いたことがあります。居間には、椅子2脚がテーブルを挟んでハの字にセットされていました。緊張して待っていると、Tシャツ姿の谷川さんがニコニコと入って来られて、ご自分の椅子を僕の椅子に向き合うようにセットし直して座りました。慌てて僕も椅子を動かしました。つまりお互いが真っ向で対面する形になったわけです。さて、なぜ谷川さんは正面に座り直したのでしょうか?実はここに、感性豊かな詩を生み出せる手掛かりがあるようです。谷川さんは、子どもの身体性を大人になっても持ち続けている人なのです。小学校低学年までの子どもは、人や物を正面で捉える身体を持っています。好奇心に溢れ、怖いもの知らずの解放された身体です。ところが大人になるに連れて正面の姿は消え、斜に構えた防御の身体が増えていくのです。
子どもから教えられることは多いですね。