ワンタッチ

館長の散歩道

私の尊敬する仏教学の先生は、大学の講義が終わると、ご自分で板書した文字を丁寧に消して黒板消しを置き、もう一度軽く黒板消しにワンタッチして、教室を後にされました。この仕草は、毎回の講義終わりに繰り返されたそうです。このワンタッチの意味は何でしょうか?先生は黒板消しに感謝していらっしゃるのです。「ご苦労様。」・・まさに人格者の持つ美しい仕草なんですね。身の回りにある手帳やペン、本などを手にして、デスクの上に置いて、手を離したら、そっともう一度触れてみてください。どうでしょうか、心が落ち着きませんでしたか?椅子を机の下に入れて片づけたら、椅子の背もたれにワンタッチ。この「やわらかにワンタッチ」で、物を整えると同時に自分の心も整ってくるんですね。心が固くなり、モヤモヤした時には、この「ワンタッチ」を思い出して、物にそっと触れてみてください。きっと心が整ってくるはずです。