魔法の序曲
ミュージカルの楽しみの一つに序曲があります。お客様が期待に胸をふくらませる中、
客電が落ちて、オーケストラピットの演奏者がチューニングを始めます。一瞬の静寂の
後、ピンスポットに照らされて指揮者の登場です。さあ、魔法の序曲が始まります。日
常から非日常に観客をいざなう至福のひと時。そしていよいよ、曲終わりに緞帳が上が
ります!
さて、序曲と言えば、僕は最高峰のミュージカル映画「ウエストサイドストーリー」
の序曲に魅かれます。マンハッタンを上空から撮影した映像が映し出され、聴こえてく
るのは、あのソ~ド~ファ#の口笛の旋律。ドの音はジェット団(トニーのいるポーラ
ンド系の白人グループ)を、ファ#の音はシャーク団(マリアのいるプエルトリコ系の
移民グループ)を表しているそうです。作曲のバーンスタインは、お互いが相容れない
関係をドとファ#の不協和音で表現しているんですね。さすが天才バーンスタイン!
ミュージカルの楽しみに際限はありません。