人と人との触れ合いが、これまで以上に少なくなっていると感じています。僕の恩師の竹内敏晴先生の講義に、「触れる」という事をテーマにした、とても興味深いレッスンがありました。ペアで行なうワークですが、一人が相手に背を向けて立ち、もう一人は後ろから前の人に触れて振り向かせなさいという指示を先生が出されます。触れられる人には、振り向けたら振り向いてください。振り向けなければ無視してくださいとおっしゃいます。指示はこれだけです。すると人によって戸惑いながらも、色々な触れ方や振り向かせ方が出てきます。中でも多いのが、相手の肩や腕に、片手の指先でチョンチョンと触れる動きです。触れられた方の人に感想を聞くと、なんだかよくわからないとか、突かれた感じで素直に振り向けない等々、こちらも戸惑が否めません。さて皆さんは、掌という言葉をご存じでしょうか。もう死語と言っても良いのかもしれませんね。手のひらの中心のところを掌(たなごころ)といいます。親が子どもに熱があるかどうか調べる時に、おでこに触れるところが、たなごころ。手の中心、手の心です。たなごころは相手の心を開いてくれます。人をあたたかく感じさせてくれるのが、たなごころ。子どもたちに残しておきたい言葉と身体ですね。