財津一郎さんの訃報が入りました。財津さんのセリフは、まるで歌っているようなセリフ回しでした。この館長の散歩道で、皆さんには何度も喉の開放の大切さについてお話をして来ましたが、アマチュアとプロの俳優の違いは喉が開いているかどうかと言っても良いと思います。胸や肩に力が入り、喉を閉めつけた発声では、観客は言葉を聞く以前に雑音に耳を塞ぎたくなってしまいます。財津さんと言えば、あのテレビCMがあまりにも有名でしたね。「ピアノ売ってちょうだーい!もーともーっと○○もっと」高音を楽々と響かせる楽しそうな発声に、つい聴いている視聴者も、にやついてしまいます。まさに脱力の成せる技ですね。大きな声を出そう出そうと頑張れば頑張るほど声は届かなくなってしまいます。自分が自分がという我を捨てて、心と身体をまかせてしまえば、声は楽に出始めます。私事ですが、新橋演舞場で「アーニーパイル」という音楽劇で飄々と演じる財津さんとご一緒させて頂いたのが、昨日の事のように思い出されます。「そのとおり~!」財津さん、お疲れさまでした。