旋回舞踊

館長の散歩道

皆さんは、トルコのコンヤという町をご存じでしょうか?トルコの首都アンカラから250キロほど南にある古都です。イスラム神秘主義の「メヴレヴィ―教団」の総本山があった町で、旋回舞踊の「セマ―」で知られています。僕が興味を持ったのは、この旋回舞踊を取材したテレビ番組を偶然見たからです。10人ほどの男性たちが、白く長いスカート状の衣装を身にまとい、背の高い帽子をかぶって、ただひたすらに、クルクルクルクルと1時間以上もまわり続けるのです。この舞踊は音楽,詩、瞑想を組み合わせた独特な礼拝の儀式で、「メヴレヴィ教団のセマ―の儀式」としてユネスコの無形文化財に登録されているそうです。僕はその後に念願が叶って、生の舞台をコンヤのメヴラーナ文化センターで観ることが出来ました。楽師の演奏に合わせて舞踊者たちが登場し、ひたすらに旋回を繰り返します。不思議なことに、目を閉じているのに身体の中心軸がぶれることなく、お互いが接触することも全くありません。なるほど、無心に旋回し続けることで、円運動はやがて天空に向かい、神との一体感を得られるのですね。身体表現の奥深さに胸が高鳴った貴重な経験でした。