原初生命体

館長の散歩道

日本の多くの舞台俳優が学んできた身体トレーニングに、野口体操があります。体操といっても筋トレではなく、一口で言うと脱力の体操です。こわばってしまう身体を開放して、しなやかで柔らかいものと捉えなおすメソードです。人間の身体は60%が水でできているそうですね。野口先生は、人間の身体は、皮の袋に水がいっぱいたまっているイメージを持ちなさいと教えてくれます。身体を揺すると、袋の中の水が揺れる音が聞こえる感覚だそうです。大学の授業で水の話をしていて、僕の子どもの頃は、部活の練習中に水を飲むのは禁止されていたと言ったら、学生たちは「信じられなーい!」を連発。「どうして飲んじゃいけなかったんですか?」と聞かれ、「うん?・・それは・・先輩が怖くて理由なんか聞けなかったよ。」と答えになっていない答え。水を飲むと体が重くなったり、お腹が痛くなるとか言われた記憶がありますが、今では考えられないことですね。息をするのも苦しい暑さの中、こまめな水の補給はもちろんのこと、身体をリラックスして柔らかく揺すってみましょう。野口体操のキーワードは、原初生命体。人間は水から生まれてきた生き物なんですね。