日本のテレビ放送の黎明期を支えて、今もご健在の中村メイコさんの語り口に僕は魅かれます。凛とした佇まいで美しい日本語を話す人は、残念ながら最近少なくなった気がしています。ところが海外に出かけると、びっくりするほど美しい日本語を話す人に出会えたりします。その方々の多くは、日本を数十年も前に離れていて、海外に長くお住いの女性たちのようです。おそらく日本語の乱れの影響をさほど受けずに、かつての日本語をそのまま話していらっしゃるからでしょう。中村メイコさんがフランス人の母娘のこんなエピソードを紹介しています。嫁ぐことが決まった娘が家を出る時に、送り出す母親がこう言ったそうです。「私は、あなたに何も持たせてあげることができないけれど、たった一つだけ渡せるものがあるの。それはあなたが話す美しいフランス語よ。」母国語を大切にするフランス人ならではの良い話ですねえ。子どもは、親の話し方をそっくり真似して話し始めます。そして話し方にはその人の人間性が現れてきます。美しい日本語を大切にして、次の世代に渡していきたいものですね。