こどものためのえんげきひろば

こどものためのえんげきひろば

サザンクス筑後は平成10年度(1998年度)から、小学校2年生~高校生を対象にした表現教育講座「こどものためのえんげきひろば」を続けています。
遊びやダンスなどの表現、劇づくりの活動を通じて、表現力やコミュニケーション能力を養う目的で、毎年3月と8月に発表会を行います。

この「こどものためのえんげきひろば」は新型コロナウイルス感染症の影響を受け、2020年は最大の試練に立たされました。
毎年3月に開いていた発表会が講座開講22年目で初の中止に追い込まれ、緊急事態宣言で活動場所だった当施設も休館したことで、子どもたちの表現の場がなくなりました。

22年目の発表会予定日は3月29日。
前日のリハーサルを終えた子どもたちは本番を待ち遠しそうに帰路につきました。
しかし、その日、筑後市で新型コロナウイルスの陽性者が出て事態は一変。
急きょ、発表会の中止が決まったのです。
子どもたちは泣き崩れ、部屋に閉じこもったという話を保護者の方から聞きました。
発表会で引退する高校生もいたので、われわれスタッフも心を痛めました。

活動の場を失った子どもたちのために何とかしたい。
サザンクス筑後では、SNSのInstagramを使ったライブ配信で、工夫を凝らして表現やダンスの講座を続け、学校休校で自宅にいる子どもたちとつながりを持ち続けました。

そして、6月。
緊急事態宣言が解除され、「こどものためのえんげきひろば」も待ちに待った再開。
マスク着用やソーシャルディスタンスなど制限のある中での活動ですが、サザンクス筑後に子どもたちの笑顔が戻ってきました。
しかしながら再開後もコロナ禍の先の見えない状況で、「正直、8月の発表会は難しいかも」と心が折れそうになりながら、関係者と話し合いを重ね、ゴーサインがでたのが7月。
短期間の準備の中で感染症対策を徹底し、活動を続けました。

そんなコロナ禍の中でも「今できることを」と活動の火を絶やさず、8月には発表会を無事に行うことができました。
私たち講座のスタッフは子どもたちの「やりきった」という充実した表情に心を打たれ、これからも活動を続けていきたいとの強い思いを持ちました。

8月23日。
サザンクス筑後小ホールで関係者だけを集めた演劇の発表会を開催できました。
コロナ禍の中で、世界みんなの幸せを願い、笑顔を筑後から届けようという思いを込めた作品「Legacy」~想い受けつぐその生命(Life)~。
演じ終えた子どもたちの感極まった涙、充実感あふれる表情は忘れられません。

同じ小ホールで開かれた1週間後の少年の主張福岡県大会でも、子どもたちは県内の中学校関係者約250人の前で同作品を公演。
観客の前で舞台を踏める喜びを噛み締めました。

保護者の皆様、インストラクター、テクニカルスタッフ、サザンクス筑後職員といった多くの関係者の協力で実現できたコロナ禍での発表会。
2020年度の「こどものためのえんげきひろば」は、人々のつながりの大切さにあらためて気付かされた1年でした。